

9月の聖句
「見失った羊を見つけたので、一緒に喜んでください。」
ルカによる福音書15章6節
9月のメッセージ
今津幼稚園 後藤 聡
長い夏休みでした。熊本で大きな地震があり、関東各地でも大雨がありました。連日の猛暑で心身ともにきびしい日々でした。二学期、幼稚園はさまざまな行事が続きます。こどもたちにとっても、不安と期待がいっぱいになるかもしれませんが、楽しみでもあります。
聖書の世界は、パレスチナという地域で、土地は肥沃ではなく、麦やぶどう、いちじくなどの話がでてきますが、多くの民衆は牧畜民であったり、収穫期に日雇い労働者のような仕事をしていました。クリスマス、主イエスの誕生を最初に神さまから告げられたのは「羊飼いたち」でした。ですから、主イエスの話のなかにも、羊や羊飼いの話が出てきます。
羊を100匹持っている人がいました。そのうちの一匹がいなくなります。すると羊飼いは、99匹を置いてその一匹を探しに行きます。そして、やっと見つけると、その羊を肩に担いで帰ってきます。「見失った羊が見つかったので、一緒に喜んでください。」
ここで少し考えてみたいと思います。普通に考えたら99匹のほうが大切ではないでしょうか。100匹のうちの一匹ですから99匹は無事に残っています。「一匹くらい仕方がない」と考えることもできます。でもこの話ではそうしません。いなくなった一匹をそのままにしない。これがこの話の大切なところです。私たちの社会では、ときどき「大多数」が大切にされます。反対に、うまく人間関係をつくれない人や、まわりから離れてしまった人は「仕方がない」と思われてしまうことがあります。
しかし、主イエスは「その一人を忘れてはいけない」と言っているのです。キリスト教ではこの羊を「人間」に重ねて考えてきました。「迷子になった人は、神さまを信じていないからダメなのだ」とか「自己責任だ」ということではありません。むしろ逆です。この話が伝えているのは「どんな人も、いなくなってしまったからといって、価値がなくなるわけではない」ということだと思います。一人になってしまった人もいます。失敗して自分なんかだめだと思っている人もいます。まわりの人と比較して「自分は何の価値もない」と思ってしまうこともあります。でも、あなたがそう思っているときにも、「あなたがいなくなったことを、誰かが悲しんでいる」「あなたを探している人がいる」「あなたは一人ではない」。この羊の話はそんなメッセージを伝えているのではないでしょうか。
そして最後に、「一緒に喜んでください」と言います。羊が見つかったことは、羊飼いだけの喜びではありません。一人が戻ってきたらみんなで喜び、分かち合うのです。これは、今の私たちの社会にも大切な考え方だと思います。「できる人だけが大切」なのではありません。「みんなと同じ人だけが大切」なのでもありません。一人一人がそれぞれ違っていていい。そして誰かが倒れたとき、だれかが孤独になったとき「自分には関係ない」と思うのではなくて
「あなたを一緒に探そう」と言える社会、主イエスがこの短い羊の話を通して伝えようとしたのは、そんな人間のありかただったのではないでしょうか。
だから、こう伝えようと思います。
「あなたが迷子になったとき、あなたを忘れない人がいる」そして同時に「誰かが迷子になったとき、その人を忘れないでほしい」と。それが主イエスの語った「喜び」のひとつなのでと思います。


