

10月のメッセージ
今津幼稚園 後藤 聡
10月の聖句
「あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのです。」
ペトロの手紙Ⅰ 4章10節
9月の後半になってようやく秋の入り口になったようです。9月から新しく入ってきたお友だちを加え、うんどうかいの練習に励んでいます。それぞれの力に応じて今の「自分」を表現できたらとのぞんでいるところです。10月からも新しいお友だちがきます。みんなで歓迎しましょう。
「ペトロの手紙」~新約聖書のうしろのほうに納められている書簡です。ペトロというのは主イエスの筆頭弟子ですが、この手紙はそのペトロの名を借りて書かれたものでしょう。おそらく西暦100年ごろのことだと思われます。
この時代は、ユダヤ人にもさまざまな人々にもキリスト教が伝えられていましたが、世界を支配していたローマ帝国は教会を弾圧していました。教えを拒絶していたというよりその存在そのものを否定してましたから、捕縛、拷問、処刑など、クリスチャン、初期の教会はそういう厳しい時代の中で活動したのです。たとえばローマ市内の地下や下水道などに集まり集会を継続していました。あまりのすさまじい弾圧に、教会は「この世の終わりが近い」とさえ思ったのです。
そういう時、自暴自棄になったり、好き放題しようとする人々もいるかもしれませんが、教会は、だからこそ思慮深くふるまい、身を慎み祈りあうことを奨励したのです。そして「愛」を呼びかけました。これはお互いに、意見の違いがあっても大切に、尊重しあうことです。
人間は、自分の能力を他人と比べたり、有能だとかあるいは卑下したりします。役割り、年功序列、地位の評価、それが不平や不満になるものです。それに対して聖書は、「あなたがたはそれぞれ賜物を授かっているのです」といいます。
この「賜物」、聖書原語のギリシャ語では「カリスマ」です。英語では「ギフト」、神さまからこの上ない愛を以て与えられる賜物、すなわち贈り物という意味です。
つまり、わたしたち人間に、一人一人にそれぞれ素晴らしい贈り物が神さまから与えられているのです。違いをあげれば確かに違います。いくらでもあるでしょう。けれども、それぞれがかけがえのない存在なのです。神さまがお与えになった恵みは多種多様、個性的で多彩です。その豊かな賜物を生かしあい、互いに仕えあいなさいと教会は語るのです。
たしかにもっている「力」は違います。人間の目から見れば大きさや量で計り優劣をつけたりしますが、神さまから見ればそれぞれが100%の人間なのです。ようちえんの子供たちも、違うところはいっぱいあります。いまづようちえんでは、うんどうかいでも競争はしないのです。それぞれが、神さまから信頼されて預けられた賜物、宝物を護り、責任をもって歩むことが促されているのです。
10月の第二金曜日は、「キリスト教保育祈祷日」です。北海道から沖縄までの、キリスト教の教派を超えた幼稚園・保育園・こども園を覚え、全世界のこどもたちの平和と健康が護られるように、そしてつとめを果たす保育者が護られるようにと祈る日です。


