11月の聖句
「成長させてくださったのは神です」
コリントの信徒への手紙Ⅰ 3章6節
今津幼稚園 後藤 聡
ようやく秋らしい季節になりました。この学期は今津幼稚園でもさまざまな行事があります。うんどうかいがおわり、こどもたちはフェスティバルの準備をしています。こどもたちの積極的な意見に目を見張ります。これから幼児祝福式や収穫感謝礼拝、12月のクリスマス、年末年始、3月まで、ふだんゆっくりした幼稚園生活もあわただしい日々が続きます。こどもたちの成長は、ゆっくりとした歩みのようにも見え、着実に進んでいることを実感しています。
聖書はその最初に、神さまが「天地創造」されたことを語っています。これは何よりも先に、まず神さまが存在されていることを述べ、すべてが神さまによって創られたことを確認しているのです。キリスト教はそれを土台にしています。
2000年前、主イエスの弟子たちは、自分たちが受けた体験、主イエスの言葉や業(わざ)を、神さまのことや神の国についてを多くの人々に伝えたいと思いました。ユダヤの人々、ローマ帝国の人々に抑圧され、時には嘲笑されながら地中海沿岸の町や村に足を運んで語ったのです。教会というと、独立した建物を思い浮かべるでしょうが、反来はキリスト者が集まることを意味しています。けれども人が集まると「違い」があらわになります。
初期の教会指導者のパウロが、コリントという港町に主イエスの教えを伝えました。オリンピック発祥のアテネから西にある港町です。人や物の行き来が激しいところです。文化も発達していますし、オリンピックのような競技会も開かれていたようです。主イエスの教えも、パウロ以外の人物や影響をうけた人が語りに来ます。まだ生まれたばかりのキリスト教は、人によって強調点が違うことがあります。そうすると聞く人々の中に、パウロの話が正しいとか、自分はアポロのいうことが正しいなどと違いが争いになっていきます。次第に派閥が生まれたりします。人間社会の中でよくみられる光景ですが、教会では深刻です。パウロはそれを嘆きながらコリントの教会の人々に手紙を書くのです。
「わたし(パウロ)は植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です。ですから、大切なのは、植える者でも水を灌ぐものでもなく、成長させてくださる神です。」
人間は、自分(たち)の働きや成果を誇示したくなるものです。その結果、だれがよい、わるい、正しい、正しくないとグループに分かれ、分裂してしまうのは悲しいことです。今津幼稚園は、人間の働きを評価しつつ、その背後におられる神さまが支え、導いてくださることを信じているのです。